ぶどう品種がワインの名称になっています。ALSACE

フランス北西部、ぶどう畑はヴォージュ山脈の東斜面に、幅1~5km、南北には約110kmにわたって広がっています。この山脈のおかげで、ぶどう畑は特殊なミクロクリマ(微気候)に恵まれています。冬は寒く、夏は暑く、晩秋の好天は特別で、ぶどうがゆっくりと成熟し、遅い摘み取りになります。土壌は花崗岩、石灰岩、砂岩など多種の岩がなすモザイクで、さまざまなぶどう品種が育ちます。

主なぶどう品種
赤ワインピノ・ノワール
白ワインリースリング、ゲヴルツトラミネール、ピノ・グリ、 ミュスカ・ダルザス、 シルヴァネール、ピノ・ブラン

アルザスで栽培しているのは、Riesling(リースリング)、Gewurztraminer(ゲヴルツトラミネール)、 Pinot Gris(ピノ・グリ)、 Muscat d'Alsace(ミュスカ・ダルザス)、Sylvaner(シルヴァネール)、Pinot Blanc(ピノ・ブラン)、Pinot Noir(ピノ・ノワール)の7つの品種です。

これらの単一品種でワインが造られ、ぶどう品種名がそのままワイン名になっています。この他、51の特別な畑で、ぶどうの収穫量や糖分の割合など生産条件が課せられて造られるAOC Alsace Grand Cru(アルザス・グラン・クリュ)や、遅摘みのVendanges Tardives(ヴァンダンジュ・タルディヴ)、貴腐ワインのSélection de Grains Nobles(セレクション・ド・グラン・ノーブル)、シャンパーニュと同じ方式で造られる発泡酒Crémant d'Alsace(クレマン・ダルザス)などがあります。

マリアージュレシピ

●マリアージュのポイント

《アルザス・リースリング》 の酸味と、お料理の複合的な酸味が爽やかにマッチ。また、鱚の昆布〆のねっとりとした食感が、リースリングのグリセリンによる柔らかな感触と調和する。

鱚の昆布〆と青瓜の酢の物 × Alsace Riesling (アルザス・リースリング)

●材料 ~2人分~
  • 鱚(キス)8匹
  • 青瓜1/2本
  • 梅肉適量
  • 大葉5枚
加減酢
  • 出汁200cc
  • 米酢10cc
  • 白ワイン10ml
  • 酢橘汁10ml
  • 砂糖10g
  • 薄口醤油10g
  • 昆布3g
●作り方
  1. 鱚を三枚おろしにして骨をぬき、皮を取り、うす塩して1時間おく。湿らした昆布の上に30分ほど身を置いておく
  2. 青瓜は種を取り刻んで塩水に漬けておく
  3. 大葉は刻んで水にはなしておく
  4. ボールに出汁、米酢、白ワイン、酢橘汁、砂糖、薄口醤油、昆布をいれてよくまぜておいておく
  5. 器に鱚を並べて、残りの鱚と青瓜と梅肉を混ぜて盛り付け、上に大葉の刻んだものをおいて完成

海老と焼きトマトの出汁ジュレ × Crémant d'Alsace (クレマン・ダルザス)

●材料 ~2人分~
  • トマト2個
  • 海老2匹
  • 青柚子1個
  • 出汁300cc
  • 薄口しょうゆ10ml
  • 1g
  • ゼラチン4g
●作り方
  1. トマトのヘタを切り、塩をしてから、オーブン230℃で12分焼いて冷まし、冷蔵庫に入れて冷やしておく。
  2. 海老は、鍋にお湯を沸かし、半生になるくらいゆがいて氷水にいれ、さめたら酒塩昆布水*につけておく。
    *酒塩昆布水とは? 酒1(30cc):水3に塩一つまみ、3cm角昆布を入れてそのまま置いたもの
  3. だし汁・塩・薄口しょうゆにゼラチンを入れふやけたら、火にかけて溶かして冷やしおく。
  4. 器に1を入れ、2をのせ、3を上からかけて青柚子をふりかけ完成。
●マリアージュのポイント

トマトの酸味と、青柚子の香りが 《クレマン・ダルザス》 と良く合う。トマトを焼くことで香りが増し、さらにマッチ。また、お料理の鮮やかな色合いと、優しい出汁のジュレ、生き生きとした 《クレマン・ダルザス》 の泡、そして両方の持つ爽やかな酸が食欲をそそる。


●マリアージュのポイント

とろとろに煮込まれた豚肉の脂肪分と百合根のコク、オリーブの香りが、華やかでスパイシーな香りをもち、味わいに厚みのある 《ゲヴルツトラミネール》 にとても良く合う。また百合根とオリーブオイルのなめらかな食感も、《ゲヴルツトラミネール》 に共通するものがある。

豚の角煮百合根あんかけ × Alsace Gewurztraminer (アルザス・ゲヴルツトラミネール)

●材料 ~2人分~
  • 豚バラ500g
  • 一番だし1L
<A>
  • 薄口しょうゆ75cc
  • 濃口しょうゆ60cc
  • 砂糖60~70g
  • 百合根2個
  • 昆布だし適量
  • オリーブオイル適量
  • 黒胡椒適量
  • おから適量
  • 葛粉少々
●作り方
  1. 豚バラ肉を表面に焦げ目をつけて、水とおからをいれ蒸し器にいれ2時間蒸す
  2. 鍋に出しとAを入れ、蒸した豚をいれ30~1時間炊く
  3. 百合根は掃除してから蒸し器に入れ、やわらかくなったら裏ごししてミキサーにかけて昆布だしで好みの硬さまでのばす
  4. 炊いた地をすこし煮詰めて、水溶き葛で餡を作る
  5. 器にカットした豚をもり、百合根とオリーブオイルをかけて完成

レシピ考案者紹介

髙橋 拓児(たかはし たくじ)氏 プロフィール

京料理「木乃婦」三代目。
大学卒業後「東京吉兆」にて修業後「木乃婦」若主人となる。シニアソムリエの資格をもち店では「ワイン献立」なども提供している。京都大学農学研究科修士課程で「おいしさの研究」などに取り組み、日本料理界を牽引する一人として活躍している。NHK「きょうの料理」講師。
著書には「10品でわかる日本料理」(日本経済新聞出版社)「和食の道」(IBCパブリッシング刊)がある。

髙橋氏コメント:<アルザスワイン×日本料理>

アルザスワインといえば白ワイン。日本料理には白ワインがぴったりだと思うのですが、特にアルザスワインは酸を基調に味わいのしっかりしたワインで、熟成するとその奥深さが見えてきます。日本料理の奥深く繊細な味わいと、デリケートでありながら、力強さを持つという共通点を持っていると思います。 今回の献立はぜひご家庭でも試していただきたいものです。ワインと日本料理を合わせるには味わいはもちろんのこと、香りや食感、舌触りや、口中に残る香りなど、いろいろな角度から見ていただき合わせていただければと思います。


ベニエジャポネ × Crémant d'Alsace (クレマン・ダルザス)

●材料(3~4人分)
  • かぼちゃ1,5㎝厚さのくし切り2枚
  • ごぼう斜め3mm厚さに切ったもの4枚
  • 蓮根7mm厚さ4枚
  • 甘塩たら100g
<A>
  • 小麦粉大さじ4
  • 片栗粉大さじ1
  • 炭酸水50ml
  • サラダ油小さじ1
  • 揚げ油適量
  • 小麦粉適量
  • 抹茶小さじ1/4
  • 小さじ1/4
●作り方
  1. 抹茶と塩を合わせて抹茶塩を用意する。たらは皮を取り除き食べよい大きさに切る。
  2. ボウルにAを入れよく混ぜ合わせる。
  3. 材料に薄く小麦粉をまぶす。Aの衣にくぐらせ170℃の油にかぼちゃを入れる。衣が少し膨らみ、かぼちゃが柔らかくなるまで揚げる。ごぼう、れんこんは同じように衣にくぐらせ180℃の油に入れ揚げる。最後にたらを180℃の油で揚げる。
  4. 器に盛り、抹茶塩を添える。

●作り方
  1. サバの骨を取り除き、片身を2等分にする。全体に塩小さじ1/2をふる。
  2. 鍋に水500mlと薄切りのにんじん、玉ねぎ、セロリ、塩小さじ1と1/2を入れ5分ほど煮立てる。この中に1のさばを入れ弱火で5分茹で、そのまま茹で汁の中で冷ます。
  3. ヨーグルトはペーパータオルを敷いたザルに入れて一晩水切りをする。
  4. ボウルに生クリームを入れて泡立て、わさびと水切りヨーグルト、塩を加えよく混ぜ合わせる。
  5. にんじん、かぼちゃ、じゃが芋はそれぞれ茹でて、2㎝角、5mm厚さの色紙切りにする。きゅうり、ビーツも同じような大きさに切る。軽く塩をふる。
  6. 5の野菜を皿に置き、サバの水気を切って皮を取り除いたものを置く。上に4のクリームをのせ、小口切りにした万能ねぎ、花穂紫蘇、むら芽などを散らす。

冷製サバのわさびクリーム添え × Alsace Riesling (アルザス・リースリング)

●材料(2人分)
  • にんじん・玉ねぎ・セロリ合計50g
  • さば1/2尾

<A>
  • 生クリーム50g
  • わさび小さじ2
  • 水きりヨーグルト50g
  • 小さじ1/4

  • 人参・かぼちゃ・じゃが芋・きゅうり・ビーツ(缶詰)各少々
  • 万能ねぎ・ムラ芽各少々

チキンのオレンジ照り焼き × Alsace Pnot Gris (アルザス・ピノ・グリ)

●材料(2人分)
  • 鶏もも肉1枚
  • 小さじ1/2
  • オレンジ1個
  • サラダ油小さじ1
<A>
  • しょうゆ小さじ1と1/2
  • グラニュー糖小さじ2
  • 赤ワインビネガー小さじ1
  • 大さじ3
  • ベビーリーフ少々
●作り方
  1. 鶏肉は余分な脂を取り除き塩を全体にふってから端から巻いて糸で縛る。
  2. オレンジは皮オーブンむいて実を取り出し、出た汁は取っておく。
  3. フライパンにサラダ油を入れて火にかけ1の肉を入れ、中火で表面に良い焼き色が付くようにしっかりと焼く。
  4. Aとオレンジの汁を加え、蓋をして8~10分蒸し焼きにする。
  5. 蓋を取って煮汁を肉にからめるよう水分を飛ばす。
  6. 鶏肉を取り出し、5分ほど置いてから1cm幅に切り分ける。糸を取り除く。
  7. 器に肉を盛り、オレンジの実を添え、ソースをかける。きれいに洗ったベビーリーフを添える。

レシピ考案者紹介

脇雅世(わきまさよ)氏 プロフィール

料理研究家。20歳代の大半を料理習得のためフランス・パリで過ごす。
帰国後、服部学園国際部ディレクターを経て、自宅でフランス料理教室を開く。
TVや書籍を通じ作りやすく美味しいレシピを提案している。
また2008年よりオリジナル・キッチン道具プロデュースも手掛けている。
2014年、フランス政府より農事功労章シュヴァリエを受章。著書多数。

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