ローヌ河流域に沿って南北２００kmにわたって広がる一帯。このローヌのワイン産地は、気候も土壌もぶどう品種もワインのタイプも非常に異なる、北部と南部に分けられています。北部の気候は温暖で、大陸性気候です。ぶどう畑は急な丘の斜面や狭い花崗岩質の段丘にあり、南東、南西向きで日照に恵まれています。ここには有名なクリュが連なっています。南部のぶどう畑は河原のような緩やかな大地にあり、土壌は非常に変化に富んでいます。
暑い地中海性気候で、ときに激しく吹きつける風、ミストラルは気候の重要な要素となっています。
コート・デュ・ローヌ地方はボルドー地方に次ぐフランス第二のAOCワイン産地。かつてアヴィニョンに法王庁が移されて以降、各代の法王は自らのぶどう畑をこの地方に持ち、ワインを楽しんだという輝かしい歴史のある地です。多種のぶどう品種から、赤、白、ロゼ、発泡酒、天然甘口ワインまで多彩に造られるワインは上質な個性をもち、世界的な名声を得ています。
- 主なぶどう品種
- 赤ワインシラー、サンソー、ムールヴェードル、グルナッシュ・ノワール
- 白ワインシヴィオニエ、マルサンヌ、ルーサンヌ、クレレット、グルナッシュ・ブラン
違いが際立つ、北部と南部のワイン
＜北部のワイン＞
単一品種からワインを造ることが多く、赤にはシラー種、白にはヴィオニエ種、マルサンヌ種、ルーサンヌ種を用います。赤はHermitage（エルミタージュ）をはじめとしてコクがあり、花のような芳香があります。白は非常にドライでコクがあります。ここには次の８つのAOCクリュがあります。Côte Rôtie（コート・ロティ)、Condrieu（コンドリウ)、Château-Grillet（シャトー・グリエ)、Saint-Joseph（サン・ジョゼフ)、Crozes-Hermitage（クローズ・エルミタージュ)、Hermitage（エルミタージュ)、Cornas（コルナス)、Saint-Peray（サン・ペレイ)。
＜南部のワイン＞
南部では数種類のぶどうの組み合わせからワインが造られます。スパイスのアロマのある力強い赤、ロゼの女王タヴェルも有名です。ここにはAOC Côtes du Rhône（コート・デュ・ローヌ)、Côtes du Rhône Villages（コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ)があり、またAOCクリュではVinsobres（ヴァンソーブル)、Gigondas（ジゴンダス)、Vaqueyras（ヴァケイラス)、Beaumes-de-Venise（ボーム・ド・ヴニーズ)、Châteauneuf-du-Pape（シャトーヌフ・デュ・パプ)、Lirac（リラック)、Tavel（タヴェル）があります。
コート・デュ・ローヌのAOCは３つに分けられます。
- AOCコート・デュ・ローヌ
- AOCコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュおよびその後に村名
- AOCクリュ（特定地区名つきワイン）
＊ローヌ河流域には、左記の他、ドローム河流域のDie（ディー）の発泡酒と白、南部のCoteaux du Tricastin（コトー・デュ・トリカスタン)、Côtes du Vivarais（コート・デュ・ヴィヴァレ)、Côtes du Ventoux（コート・デュ・ヴァントゥー)、Côtes du Luberon（コート・デュ・リュベロン)、Costierès de Nîmes（コスティエール・ド・ニーム）などがあります。
